投資/金融教育において、私が最も重視しているのは「リアルな失敗談の共有」です。
その時の感情などリアリティを追求して、ストーリー形式で伝えています。
説明する時は、
- ポイントを絞って、大局を伝えます。
- 子供が既に身近で経験済みの体験にリンクさせる(説明したいものと構造が似ている体験に紐付ける)ことを重視してます。
失敗エピソードは最高の教材
自分が子供の頃を振り返ると、大人の実際の失敗談は、最も説得力のある学びでした。
大人の会話を盗み聞きしていたら出てくる噂話(先物取引で土地を失ったおじさんとか、飲み屋のママの暗躍で親友に財産を取られたおじさんとか)って今でも覚えていませんか?
子供心に
コワ━━(((( ;゚Д゚)))━━ッ !!! カワイソー
と思った内容は、一生頭に残ります。
教科書みたいに教えるよりも、「私はこれで失敗してものすごく悔しかった」ってリアルなエピソードを伝える方が、ずっと心にも頭にも残りやすいと思うので、私の失敗エピソードは惜しみなく子供に伝授することにしています。
これまでの投資活動で数々の失敗を積み重ねてきたので、エピソードには事欠かないのが、私の強み(笑)。なんでもやっておけば、思わぬ形で役に立つ時が来るんですよね?
ネットでは「投資といえばFX」みたいな情報が流れているらしい:興味を持っている時が教えどき
息子がネットサーフィンで仕入れてくる情報は、とても偏っています(未成熟だから当たり前)。
なぜかわかりませんが、FXについて、ポツポツ口にするようになったので、おそらくリコメンドで「FXで大儲け!億りました!」みたいな動画が出てきたか、情報商材の広告を見たのだと思います。
「こんな子供もターゲットにするわけ??」
とイラッとしたのですが、文句を言っても現実そうなっていることは変えられないので、
「興味を持っている時が教えどき」ということで、失敗エピソードを共有しておくことにしました。
私のFX失敗エピソード
時は2008年、産休中「なんか暇だな〜」と思いだし、出来心でFX取引を始めました。
親からはリボ払い、消費者金融、信用取引(FX含む)は絶対にだめ!と重々言われていたのだけど、当時は「結婚して親から独立した大人の私は、自己判断ができますので!」という反抗期みたいな気分もあったし、妊娠ハイもあったのか
「なんだかいけそうな気がする〜♪」という謎の自信があったんですよね。
初め30万円口座にいれて、アテカン(根拠なし、ノリのみ)だけで50万円まですぐに増えました(+20万円の利益)。
「え、チョロくない?やった」と味を占めてさらに20万円口座入金。
そして、リーマンショックが直撃?
ベッドでうとうとしている時に、ピコンッ(通知音)と音が鳴り、見てみると
70万円のロスカット通知(꒪ཫ꒪; )
あの通知音のトラウマ・・・
呆然でしたよね・・・あの瞬間の光景は今でも覚えています。
これから子供にお金がたくさんかかるのに、こんな損失出しちゃった。どうしよう?
それから出産まで随分しばらく憔悴して、生きた心地がしませんでした。
出産したら忙しすぎて忘れましたけれど?
私が学んだ教訓はこちら
- FXは上がるか下がるか、2択の丁半博打(ギャンブル)
- 「自分はこう思う」と根拠を持って言えないものに、自信を持ってはだめ。
後悔が消化できないから。 - FXの動きを予想できる人はほぼいない。
- 信用取引はやっぱり危険。全額没収があり得る世界だから。
- 結論:やらない方がいい。
息子には、これらの教訓に加えて、
あの時は心が死んだよ。。。空が黒く見えた。。。(´._.`).。o
あなたはお腹にいたから、ショック伝わって居心地悪かったんじゃない?
変な胎教になっちゃって、ゴメンネ?
と、可哀想感を全力で演出して、「いかに恐ろしい出来事だったか」「あなたも間接的に当事者だった」というアングルで伝えてみました。
息子からの質問と私の回答
1ドル100円くらいなのに、なんでそんなに損失が出るのか?:リバレッジ(信用)の意味
100円くらいで1ドルを買う、それで何で何十万円もの損失が出るの?
ごもっともな疑問ですよね。なので、まずFX取引のルールをこのように説明しました。
- FXは1ドル分買う/売るということはできない。
- 最低10万円を口座に入れなくちゃいけなくて、1万通貨(1万ドル/100万円くらい)以上を取引する決まりになっている。
- 10万円しか入れないのに、100万円分(1万通貨)が買えるのはおかしいと思わない?それはリバレッジ(信用取引)と言います。
- リバレッジというのは「お金を借りる」ということ。
?「10万円入れておくので、100万円貸してください」
?「いいですよ。でも入れていただいた金額以上の損は出せませんので、損失が10万円になったら全額没収させていただきます。」
そういう契約をしているということ。
この場合は持っているお金の10倍の金額の取引をしているので、10倍リバレッジ。
頼めば、20倍でも30倍でも取引できるけれど、損失が10万円になったら全額没収になるのは同じ。
リバレッジの意味と口座に入れるお金は無くなってもいい金額にしろというポイントをメインに伝えました。
※今円安で100円ではないですが、例えなのでシンプルにしています。
FXがギャンブルなら、宝くじと同じでは?:規模感の違いとギャンブルの恐ろしさ
Aおじさんは、宝くじ買っているけどあれはいいの? FXも宝くじも同じギャンブルなら、FXやったって同じことじゃん。
身近な人のやっていることを子どもはよく見てますよね〜(笑)
ギャンブルの恐ろしさをメインに押し出して、こう説明しました☺️
- 同じギャンブルといえば、ギャンブルだけど、金額のレベルがぜんぜん違う。
宝くじは最低300円。FXは最低10万円 - FXは上がる/下がるの2択なので、確率は50%に見える。
でも、買った時に「あたり/ハズレ」とはっきりするのではなく、実際は継続した動きなので、ずっと目が離せない。 - 一度利益が出るとハマってしまう中毒性の高いギャンブルで、中には廃人になってしまう人もいる。ママも一時期ハマってしまったから、70万円なくなってしまったわけ(涙)おそろしや〜。
- パチンコもそういう中毒性があるらしい。
- ギャンブルは、「する人」よりも「させる人」の方が必ずもうかる仕組み。
FXが恐ろしいなら、宝くじはいいのか?:FX業者と宝くじの儲けの構造
じゃあ、ぼくは、FXはだめだけど、宝くじは買ってもいいってことね?
はい、出ました。お約束の「へりくつ」
想定済みですね(笑)
「誰がなんのためにやってるものなのか」
「本人が経験済みの身近なもので構造が似ているものを具体例にする」
にフォーカスしてざっくり仕組みの説明しました。
FXはインターバンクやスワップポイントなど、大人でも難しい仕組みがあるし、私も完璧には理解していないので、ここは大局に集中します。
- 宝くじは、ほぼ当たらないことが分かりきっているので、おばかちゃんのギャンブルと言われている。
- 東京ドーム220個分に満員の人がいて、その中から1人が当たるらしい。私も40年以上生きてきてきたけど、実際に当たった人を見たことがない。
- 宝くじは、東京都とかの地方自治体がお金を集めるためにやっているから、寄付とも言える。でも、どうせ寄付するなら、自分が使って欲しいことに直接お金が使われる形で寄付した方がいいよね〜。
- FXは、「為替(かわせ)」をギャンブルの対象にした商売。
- 為替は、円と別の通貨を交換するとき「1ドル/ユーロ=何円にするか」を決める経済に必ず必要なプロセス。為替自体は政治と需要供給で決まるもの。為替とFXは別物。
- FX業者は、ギャンブラー同士の出会いの場を提供していて、取引する時の「売値」と「買値」にちょっとだけ場所代として手数料を乗っけて稼いでいる商売。
デュエマカードを5枚、お店で待ち合わせして、お友達と交換することをイメージしてみて。あなたとお友達が交換用に5枚持って、お店に集合。交換する時に、お店の人から「ここの場所代ということで、1枚ずつください」と言われて、あなたとお友達は4枚ずつ持ってかえる。お店の人は2枚ゲット。そういう感じ。
交換されるカードが多ければ多いほど、お店は儲かる。
だから、すごくたくさん宣伝して、人を集めようとしているの。
子供にとってできるだけ身近な例を挙げて
『誰が、なんのために、どこの部分で、儲けようとしているか』
その視点から考える癖をつけておくことは、とても大事だと思います。
うちの子にとって、ギャンブル類似の経験は「おまつりの宝つり」くらいしかないので、宝つりを例にして説明しました。
- 宝くじは、買った分しか損しないので、お祭りの宝つりみたいな感じで、夢を買う娯楽として楽しんでいる人もいる。
- 宝つりは、お店のおじさんが、Switch1個と安いおもちゃをたくさん買って、60本くらいの紐に1個ずつくっつけて、1回500円でひく権利を売る商売。
- 宝つりのポイントは、
- 一見60回引かれたらあたりが必ず出るように見えてしまうけど、同じ紐は何回も引っ張られることができるところ(確率は無限大)
- おじさんがちゃんとSwitchを紐にくっつけてるかは確かめられないところ
- 宝くじは、法律に基づいてやってて、あたりは必ず入ってることになってるから、そこが宝つりとはちょっと違う。けど
- 両方とも、買う人よりも、売る人の方が必ず、圧倒的にもうかる仕組み。
そういう仕組みのことを、大人は「ギャンブル」と呼んでいる。
大局を伝えれば、あとは待ちです。
興味があれば、自分でYoutubeを見るなり、漫画を読むなり、オンラインゲームの人と話すなり、なんらかの形で自分で学習するはず。
「私が伝えられることは伝えた」という清々しい気持ちで忘れます?
私の仕事は、本人が情報を取りに行かれる「フックを作ること」
『FX戦士くるみちゃん』:息子が探してきて教えてくれたマンガ
しばらくして忘れた頃、
「FX戦士くるみちゃん」ってマンガ知ってる?
お母さんがFXで大損しちゃって、それを子供がFXで助けようとする話なんだけど。
と突然言われました。
私はそのマンガのことは知らなかったけれど、自分で情報を取りに行ったんだなと。
こういう時は、キタ━(゚∀゚)━!!と嬉しくなる瞬間ですね?
みてみたら
お父さんが単身赴任中に、お母さんがFXで2000万円溶かしてしまって、自殺未遂。それをみた娘のくるみちゃんが、FXでお母さんの損失を埋め合わせようとするストーリー。
ギャグ漫画なのですが、FXのギャンブル性、「FRBパウエルさん発言」「日銀指値オペ」などの不可抗力要素の大きさ、重要ポイントをカバーして恐ろしさを啓蒙する内容でした。
自殺未遂箇所とかダークなシーンに感じられるところがあります。意見が分かれるところだと思いますので、年代やお子さんの状況、ご家庭の方針などに応じて、各自ご判断ください。
とにもかくにも「恐ろしさ」はきっちり伝わる内容になっており、息子も「FX怖すぎワロタ」と言ってますので、私としては、ひとまずの目標を達成してくれたこの漫画の存在には感謝しております?
為替とは?の理解と池田勇人首相の功績を理解するのにおすすめ漫画『疾風の勇人』
せっかく興味を持ってくれたなら、『為替とは何か』についても教えてあげたい。
今は、変動相場だからFXがあるけど、昔は1ドル360円の固定相場だった。
昔の首相、池田勇人さんの頑張りと功績に感謝しよう!
池田勇人首相の政策「国民所得倍増計画」で日本には、高度経済成長期が来た。
今の岸田首相は、池田勇人リスペクト。だから、岸田さんも今「資産所得倍増計画」って掲げてる。
大きく出たよね…気持ちはわかるよね… 頑張ってほしいね〜。
これくらいざっくり説明して、あとは「疾風の勇人」を購入してそこらへんに置いておきます。
撒き餌戦法です?