2020年のNFLハーフタイムショーの製作過程を追ったドキュメンタリー作品。
20代〜50代と自分を取り巻く環境に合わせて、成長してアプローチも変化していく中で、自分の美学を全ての時代で通してきているというジェニファー・ロペス(J.Lo)の美しさ?
正しい美学は、置かれている状況/自分のいる地点によって違う。
変化するその過程を見せてくれていて、全ての人をインスパイアできるとても素晴らしい作品でした。
個人的に、BE YOU, FEEL YOU, DO YOUという価値観を、JLoが体現して後押ししてくれたような気持ちになって、とても力づけられました?
女性としてスタート地点に立った時の周りの景色
自分が若い女性としてキャリアをスタートさせた地点の景色、覚えてますか?
ちょっと昔(え、はるか昔?聞こえませんね?)なのでうろ覚えですけど、私の記憶では
- 若い時はまだ自分がどんな人間かはわからない(経験を通して段々と固まってくる/わかってくることだから。私は40過ぎても全部はわからない)
- わからないから「これでいいのかな?」という不安が大きく、周りの意見に流されやすい(人生長いプロセスですから、成長過程で当たり前の中間地点です。)
- 若い女性は全員「若さ」という魅力を意識しなくても自動的に持ってしまっている。
- 周りの大人は、「そこに山があるから」みたいな気軽な感じで、「そこに若さという魅力があるから」と丸出しの本能であわよくば利用しようとする/杭が出てくる気配が感じたら、全力でジョークのネタにして潰す、という自然の摂理が厳然と存在している。
- うかうかしていると消費されてしまうけど、拒絶だけしていても、自分の声は通らないしやりたいことはできない。
『大人に消費されないように細心の注意を払いながら、同性/同世代に嫌われないよう目立ちすぎないようにおそるおそる、しかし大胆かつ朗らかに自分の声を通していく』という、スーパー難易度の高いクリエイティブな判断と行動が要求される時期
だったと記憶しています。
それが初めからできる人なんてほとんどいない。私は、自分も含めて、できていた人見たことない。みんながそれぞれ試行錯誤を繰り返して、なんらかの形で挫折を経験する。
30代半ば頃からか、いつの間にか持たされていた「若さ」が消え、それと共にジャングルの大人が狙ってくる獲物ではなくなったことを自覚し、「あれ?なんか楽になった?楽しい〜」みたいに感じられてくる(個人の感想です)。
そうやって時間が経って自然と通過する人がほとんどだと思う。
JLoもまた、若い頃の試行錯誤を葛藤を経て、今は前を歩く50代として、「次世代の女性達(特にラティーノ)の育成と応援に真摯に取り組んでいる。
その姿のカッコ良さたるや!女が惚れる女ですよ?
マイノリティーかつ女性で、チャンスが少ないスタート地点からどう這い上がるか:とにかくなんでもやる
ダンスが好きだったので、学校を辞めて家出してダンサーとしてキャリアをスタートしたJ.Lo。
若い時は与えられた仕事は何でもやった。仕事が与えられる機会が少なかったし、 自分がやりたい仕事との間にあるものを埋めていくのに、選んでる余裕なんてなかった。
だから、セレナというラテン女性シンガーの映画のチャンスが来た時、全力で取りに行った。ずっとダンサーをしてきて、俳優の経験はなかった。
周りの人は「あなたはダンサーでしょ?演技はできないでしょ?」と言ってきたけど、「いいえ、私は俳優よ。できるわ。」と答えたの
チャンスを掴んで這い上がるために必要なのは大胆さ。内なる疑問なんか持っている暇はないのだ!
バッシングと過小評価:強い女の仮面をかぶって、「自分は何者なのか」を内省
セレナの成功により、ラティーノ女優としてスターダムを駆け上がった後、セクシーな体型や交際ゴシップばかりが報道され、どんな仕事をしても、存在そのものを「ジョーク」として過小評価される時期。
その頃のことを、ベン・アフレックが「こんな壮絶なバッシングを受けることが嫌ではないの?」と聞いた時のJ.Loの答えは
私はラティーノだから、成功することで、理不尽な思いをすることは想定済みなのよ
そうやって、Strong woman don’t cry(強い女性は涙を見せない)と仮面をかぶって孤独に頑張ってたんだよ。J.Loも?
でも人間だもの。傷つかないわけない。
本人はこう振り返って言ってるの。
バッシングで辛かった時、自分が何者かを突き詰めて考えようと思った。
他人 の考えや評価より自分がどう思うのか重要だと思うことにした。
自分の持っている特徴は、何一つ取り除く必要がない。
全部パッケージで自分という人間なのだと。
J.Lo 姉さんっ?
スケールは全く違いますけど、私も辛い時期を経て、“BE YOU, FEEL YOU, DO YOU”というブログタイトルの価値観に至りました。
よろしければ読んでみてください。
傷ついて悶々と過ごした日々は無駄ではない
その後の自分を作る大事な材料なのよね?
客観的評価を得て、自分の主義主張を開花させていく時期:しなやかなバランス感覚の素晴らしさ
ハスラーズという映画で、アカデミー賞候補が噂されて(結局取れなかったけれど)雑誌の書評を読むシーンでは、
『残酷なほど過小評価されてきたパフォーマーが、やっと報われたことに感動している』
と言う評価を読んで涙ぐんじゃうJ.Lo? 自分が通してきた美学が人に認められることは、誰だって嬉しい。本当に認められてよかった☺️
ハスラーズは、男社会が変えられないならそれを私たちのいいように利用したるわ!と立ち上がる女性ストリッパー達のお話。ラモーナ(J.Lo)というスターストリッパーが、駆け出しストリッパーのデスティニー(コンスタンス・ウー)を見出し、助け、育てる。ラモーナのリーダーシップで一致団結していた女性グループだが、金融危機/ラモーナの逮捕により空中分解。事件を追って女性記者がデスティニーにインタビューするのだけれど、その質疑応答の仕方が、ラモーナとディスティニーの信頼関係を揺さぶる手口。女性が、「女性同士が互いに信頼を疑わずに守りあえるか」という葛藤を女性に突きつけるという構成。
表面上はストリッパーの荒稼ぎ話だけど、
女性の敵は女性。嫉妬しあって足を引っ張りあっている。
女性同士の信頼関係に疑問の種を植え付けようとするのも女性。
今現状そうなっちゃってるよね?
こんなこと続けてたら、男性中心社会は変わらないよ。変えていこうよ。
さあ、あなたはどうする?
というとても深いメッセージが含まれている映画なのです?
ハーフタイムショーの制作:後輩や子供達、後に続く女性達を全力で応援する信念
仕事の進め方のバランスのよさと見事さが、とても勉強になるし、こんなの見せられたら尊敬せざるを得ない。すごすぎる!
侮辱的と噂されるオファーに対する姿勢
HalftimeのオファーはShakiraとの合同で、伝統的に一人のパフォーマーが担ってきた役職を2人に任せるということは「ラティーノ女性1人には任せられない」と侮辱的なメッセージが透けて見えるオファー。
侮辱的だなんだという外野の意見は完全無視して、批判もせず、一切触れずに
私はこの世界最大の大舞台に立つのがずっと夢だったの
と仕事に誠実に取り組むJ.Lo?
後輩のShakiraが輝けるように少し道を譲ったり、意見を取り入れたり、譲れないところは意見したり、とにかく真摯。
パフォーマンス案には、虐げられ軽んじられてきたラティーノというルーツを力強く励ます視点を入れたいと計画中
深刻な問題提起は、美しい表現で柔らかく伝えたら、より多くの人に届きやすいと思う。
やりたいことの前に立ちはだかるハードルを、押したり引いたりいろんな経験を通じて越えてきた人だからこそ、正義が見出せる考え方と姿勢ですわ?ジーン
パフォーマンスタイムをカットし続けるNFL側の殿様的なマネージメントに対して
こんなに時間カットされ続けたら、まともなパフォーマンス/メッセージが届けられない!
強い姿勢で、毅然と押し戻す?
本番前日にNFLの会長の気まぐれな意見で演出の変更を命じられた時
虐げられてきた人々(ここではJ.Loのルーツであるラティーノにフォーカス)を象徴するステートメントとして、J.Loがこだわって調整して重視してきた檻(ケージ)の演出を、本番前日にNFLの会長の気まぐれな意見で却下され、オロついて片づけ出すスタッフ。
ショーは明日なのよ。ショーの演出は、何も変更しない。
上手に無視してそのまま貫く。
大衆の意見が味方につくだろうことを想定(信用)してのことなのか、とにかく華麗で見事なリスクテイキング?
変えられないものは放っておく
譲れないものは、譲らない
彼女のしなやかさと使える武器の多さは、積み重ねた苦労と正直な努力の証明だと思う。
全女性に力を与える、女が惚れる女☺️
是非とも観て欲しい❣️